【今回の講座のねらいと内容】
生後2年間の母子間のアタッチメント形成期に、子どもの人格発達の基盤となる人間関係の雛形が作られていきます。「感性教育講座」の4つのクールを通して、この時期にアタッチメント形成不全を体験した子どもは自らの不安への多様な対処行動を身につけていくことを学びました。それが防衛機制として働き、その後の生涯発達を通した人間関係の形成に色濃く反映していきます。
したがって、臨床家は、この時期に極力病理的対処行動が生まれないように母子関係を修復することが大きな目標となります。ただ、この時期の母子関係は情動を中心としたコミュニケーション世界での体験となるため、関係の内実を掴み取るためには臨床家も理性とともに感性を豊かに働かせることが求められます。
今日の神経生物学では、感性の働きを担っているのは右脳(感情脳とも言われます)であり、その成長スパートの臨界期は生後9ヶ月から1歳半であることがわかっています。その後、言語機能を担う左脳の成長に取って代わられますが、再び、4歳前後に右脳の成長スパートへ、ついで左脳へ、と交互にスパートを繰り返します。つぎの右脳の第3スパートが9歳前後に到来します。このような右脳の成長臨界期には脳が再組織化されますので、臨床の場においても、「関係」と「情動」に焦点を当てた精神療法を行う立場からみると、この時期は極めて重要になるのです。
そこで「感性教育臨床講座(3)」では右脳の成長の第3臨界期に該当する「学童期・前思春期」に焦点を当てながら治療のあり方について考えていきます。その際、精神療法の自験例を多数提供しながら議論を進めます。今回の講座内容も連続性を保つために、2週間に1回の間隔で実施します。
【日時】5月、6月の第2、第4土曜日午後7時〜9時
具体的には、第1回 05月13日(土)、第2回 05月27日(土)、第3回 06月10日(土)、第4回 06月24日(土)いずれも19:00-21:00の2時間