関係の病としてのおとなの発達障碍

出版:弘文堂

今日の精神科医療現場に生じている混乱の大きな要因は、従来の典型的な病像を呈する患者群の激減と、その一方で、診断基準に収まりきれず、幼少期からの発達になんらかの問題を想定せざるをえない患者群の激増です。後者がこぞって「発達障碍」と診断される事態が起きています。これまで子どもについて取り沙汰されてきた発達障碍がおとなにまで援用されるようになったからです。しかし、おとなの発達障碍が明確な診断基準に基づいて行われているわけではありません。いわばくず箱的診断として用いられているといっても過言ではありません。そうした混沌とした状況に対して、乳幼児期から成人期まで一貫性をもって発達障碍を理解できるよう、自身の知見を駆使しながら、その成り立ちから治療に至るまで解説しています。そこで柱となっているのが「関係からみる」という視点です。書名に「関係の病」と冠した理由はそこにあります。

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